海辺の叙景

音楽の話などをします

ロック

 僕が今現在、使ってるエレキギターは中学生のときに親に買ってもらったものです。
 そのギターを買ってもらう少し前、中学校の企画でオーストラリアにホームステイに行くことが決まっていました。そのホームステイに行くためのお金は、母方の祖母に出してもらうことになっていました。しかし、その企画はインフルエンザの世界的な流行のためにキャンセルになってしまったのです。
 そこで僕は、親にねだることでそのホームステイに使うはずだったお金でギターを買ってもらえるのでは、と考えました。それからすこし間がありましたが、僕は無事にギターを買ってもらうことができました。僕がちゃんとした楽器を手に入れることはこれ以降無いですし、そのギターは今でも愛用しています。

 インフルエンザが僕をロックに深入りさせたといっても間違いではないでしょう。

 高校生になると学校の帰りに楽器街、御茶ノ水によく寄り道していました。もちろん、僕は自分のギターを持っていますし、これ以上良い楽器が欲しいとはあまり思いませんでしたが、ついつい楽器屋で買えもしない楽器を眺めていたりしていました。

 ある日、某楽器店で楽器を眺めてたら、その楽器を試してみる流れになりました。その店は、店員が馴れ馴れしく話しかけてくることで有名な店でしたが、僕が今使っているギターはそこで買ったものでしたし、あまりその店の店員達を悪く思っていませんでした。
 油断した僕は、買えもしない楽器を試し弾きしました。弾き終わったあと、自分はバイトをしておらず、買えるお金は全くないことを店員に正直に伝えたのです。
 すると店員は「どうしてバイトをしないんだ」と問い詰めてきました。特にバイトをしていない理由はありませんでしたが、慌てた僕は「学校の校則でバイトは禁止されている」と伝えました。

 それに対して店員は、「お前は、ロックじゃない!」と僕に言い放ったのです。
そして続けて、「一生懸命バイトしてL'Arc-en-Cielのモデルを買った女子高生と比べたら君は…」などと言い始めました。

 僕は、あまりにも唐突に「お前はロックじゃない!」と言われてしまったので動揺してしまいました。
店員はその後もゴニョゴニョ言っていましたが、僕は無視して楽器を置いて店を出ました。

 その店は僕が通っている予備校の近くにありますし、その店員も御茶ノ水でたまに見かけます。そして、今使っているギターはその店で買っていたので、毎年お正月になると店員の集合写真入りの年賀状が来ます。なかなか腹立たしいです。

 インフルエンザによって導かれ楽器屋の店員に否定される僕の「ロック」。 
ただ、落ち着いて考えてみると、自分は「ロック」な人間か否かで言ったら…明らかに「ロック」じゃない人間だと自分で思います。